「津瀬さん!津瀬さんッ!」 ガラララララと勢いよく新戸荘の戸が開かれて、尋常じゃない多喜也の声が聞こえたので何事かと咲花が慌てて居間から飛び出してくる。 「何ですか……って!どうしたんですか、その子!」 多喜也の背中におぶられている少女を見て、咲花は驚きの声を上げた。 「行き倒れだよ」 「はぁッ!?行き倒れって……今、平成ですよ!?」 「とっ…とりあえず居間に運ぶから。津瀬さん、手伝って!」