「……それから数日して、家に文芸時代編集部から郵便が届きました。賞金の30万円を振り込む口座を教えてほしいと。……その報せがきっかけです。口座の入金を確認した後私は……家を出ました」

鍋がグツグツと煮える音がしてきたので咲花は火を消す。

そして鍋の煮え立ちも収まってきた頃、再び新戸荘は沈黙に包まれた。


「それが…一週間前の事です。……真島さん。私……バカな事してますか?」