「はぁーあ
あとボーカルだけなんだけどなー
早くライブやりてー」

この店の一角には小さなステージがあった。
たまに知らないインディーズバンドがライブをやっているが…

「もしかして、ここのステージでやるのかよ?」

「まぁ、最初はな
でもあんなショボいステージじゃなくていつかでっけーステージでライブするんだ
もちろん満員の客で。それが俺の夢」

「…ふーん」

なんだ、ただのお遊びバンドかと思ったけど、本気でやってるんだ。

そのときの真っ直ぐな眼差しが印象的で、夢なくぼんやり生きてる私はそれがかっこよく思えた。


「そうだ!明日、俺らの練習見に来いよ!
それだけでいいから!な!」

「…あー…」

「お願い!」


まぁ、明日はバイトもねーしいっか。


「一回だけな」

「やった♪」