「バンドメンバー募集…?」


ふとそのポスターが目に入った。

行きつけの店、『justice』の窓に貼ってあった。


思わず口に出して読んでしまったけど、バンドに興味ねーし。

そうしていつものように『justice』に足を踏み入れた。



ー・・・カランカラン


「…ちわーす」

「おっ、愛ちゃん
いらっしゃい」

顔馴染みのマスター、秋(アキ)がいつものように私に挨拶をした。


「あっ、もしかして君、バンド希望者?!」

カウンターに座ってる、同年代くらいの男が私に話しかけた。

「はっ?!」

「あーでももしかしてギター希望?
君が持ってるそれ、ギターだよね?
悪いけどギターは俺のポジションだから」



あきれてなにも言えなかった。
どうやらこの男、私がギターを持っているから希望者だと勘違いをしているらしい。


「…ということは、表のポスターは…」


「こら、夏(ナツ)、失礼だろ急に…
ごめんね愛ちゃん。こいつ俺の弟
あのポスターもこいつの仕業」

「え?何、希望者じゃないの?」

「ちげーよ
ここに飯食いに来ただけ」

「ちぇっ。なーんだ」