バンドのメンバーは夏も合わせて3人。
ギターとベースとドラムがいると聞いた。
歌は一応、ギターの夏がやってるらしいが、どうも私を仲間に率いれて歌わせたいらしい。
今日は朝から快晴で、清々しかった。
昨日の雪が少し残ってる。
「どこのスタジオ?」
「駅前の安いとこ!」
そんな質問を一回だけして、あとはずっと夏から喋っていた。
夏は…一言で言うと、人懐っこい。
犬みたいな。
よく喋るし、よく笑う。
一緒にいて不快な気分にもならないし、嫌いじゃない。
「ここがスタジオ」
彼が指を指した。
そこにはいたって普通のビルがあって、スタジオは地下にあるらしい。
値段も確かに手頃だった。
「他のメンバーは…?」
「たぶんもう来てんじゃね?
…緊張してんの?」
少しバカにした口振りで私に問いかけた。
「してねーよバカ!ナメんな!」
「ははっ、冗談だよ
行くぞ!」
そう言って私の腕を力強く引っ張った。

