「あ、たし…っ帰る…!!」
急いで、窓に手をかけた瞬間――――
あたしの腕は後ろに引き寄せられて、体は勢いよくベッドに倒れ込んだ。
目を開けると、翼の顔が目の前にあって。
あたしは、翼と向かい合う形になっていた。
「……なに…?」
あたしは顔を横に向けて、翼の目を見らずに言った。
「ねえ、何でほんとの事言わないの?」
翼は、そう言ってあたしの手首を押さえつけた。
「―――翼、手、痛いよ…」
「美紗が、ほんとの事言ったら離す」
……やめてよ。
これ以上近づいたら―――
「美紗」
近づいたら―――――…
「会いたかったの…
翼に…会いたかったよ……」
あたしの目からは、また涙が溢れて来た。

![[新連載]君への想い、僕らの距離。](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.778/img/book/genre1.png)