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コンコン…
「つ…翼…?」
夜。
翼が仕事から帰って来たことを確認すると、翼の部屋の窓を叩いた。
あたしの家と翼の家は隣どうし。
だからあたしの部屋と翼の部屋の窓は、お互いが行き来できるくらい近い。
「……翼?」
もう一度呼んでみても、返事はない。
…まだ部屋に戻ってないのかな…?
あたしはそう思って、そっと窓を開けた。
翼はいつも、
「あたしが入って来れるように」と言って窓の鍵は開けていてくれた。
「……何だ、寝てるし…」
帰って来てすぐに寝てしまったのか、翼はベッドに倒れ込むような格好で寝ていた。
「もう…風邪引いちゃうよ…」
あたしは部屋に入り、
翼の寝ているベッドに近づくと、そっと上から毛布を掛けた。
「―――んん…美紗…?」
「…え?」
はっとして翼を見てみると、翼はまだ寝ている。
「寝言、ね…」
あたしは無意識に、ため息をついていた。

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