“今日の2時からだから、ちゃんと見ろよ!
ゲストで俺、出るからさ”
そう言われたのは、朝から電話で。
約束した時間になり、
あたしはテレビをつけると、言われていたチャンネルに変えた。
パッと画面に映ったのは、
お昼にあっているバラエティー番組。
『今日の特別ゲストは、香住 翼くんです!!』
その声に、たくさんの女の子達の黄色い声がかかる。
笑顔で画面に映るのは―――あたしの、好きな人。
あたしの…大好きな人。
「―――翼…」
無意識にそうつぶやき、ギュッと唇を噛み締めた。
『今日はですね――…』
…ピッ…
画面から目を逸らし、あたしは無言でテレビを消した。
香住 翼[カズミ ツバサ]
今人気の、若手芸能人。
モデルや俳優など、いろいろな仕事をしている。
そして―――…
あたしの幼なじみで…彼氏。
「いつからこんなに…遠くなっちゃったんだろ……?」
あたしは机の上に置いてある、小さいころに2人で写った写真の入った写真立てを握りしめた。