調子に乗って立て続けに問題を解いていると、
「楽しそうに解いてないで問題作れって」
青山くんが私のオデコをぺしっと軽くたたいた。
「あ、すみません。つい楽しくなっちゃって。この公式の問題、高校の時に青山先生が『1分で解いたらアイス奢る』て言ってたヤツで、思い出したらなんか1分で解いてやろうとムキになってしまいました」
叩かれたオデコを摩りながら『へへっ』と笑ってみせると、
「・・・アイス奢ってもらおうと、記憶改ざんしてない??」
青山くんが眉間に皺を寄せて笑った。
・・・そうだった。
ストーカーだった私に昔話なんかされたら、気持ち悪いに決まっている。
「すみません。私にとっては良い思い出だったんです。私も忘れますね。いつまでも覚えてられると、青山先生だって気持ち悪いですもんね。 黙って問題作ります。すみません」
しまったと思い、真面目にテスト問題作りに取り組む。
青山くんが嫌がる事は、もう絶対にしない。



