やっぱり、好きだ。


 「その制服とか、サヤ子先生が『困ってる生徒がいるから譲って欲しい』って俺の教え子に頼んで貰ったヤツなの。で、アイツら、困ってるヤツが誰なのか、なんで困ってるのか気になって嗅ぎまわったらしくてさ。キミを虐めたヤツら探し出して締め上げたらしいからもう大丈夫だぞ。『先輩風吹かせまくってきた』らしい。あ、何をしたかっていう詳細は割愛な。色々・・・やったらしいから」

 吉村さんの肩にポンと手を置き、『クククッ』と青山くんが笑った。

 ・・・色々何をしたんだろう。

 私も吉村さんもあまりの展開の早さに呆気に取られる。

 「って事で、吉村さんは安心して帰宅しなさい。今からキミのクラスのテスト問題作るから見られると困る」

 吉村さんにそう言うと、青山くんがパソコンの電源を入れた。

 「す・・・すいません。すぐ帰ります」

  慌てた様子で貰った制服や教科書を抱え、保健室 を出て行こうとする吉村さんに、

 「気を付けて帰るんだぞ」

 青山くんが手を振ると、吉村さんも笑顔で頷き、手を振り返した。