保健室の扉を開くと、吉村さんが起きて待っていた。
「お待たせしました。制服とかね、去年の卒業生に頂けたよ」
『どうぞ』と持っていたものを吉村さんに手渡すと、
「先生、ありがとう。制服とか、買い直すお金なくて・・・。良かった・・・」
安堵して涙を浮かべた吉村さんが、受け取った制服に顔を埋めた。
「私は何もしてないよ。快く引き渡してくれた先輩たちに感謝だね」
吉村さんの頭を撫でると、彼女の髪はキシキシしていて、かけられた水が奇麗なものでは無かったのだと気づいた。
「・・・早く帰ってお風呂入りたかったよね?? 待っててくれてありがとう。1人で帰れる??」
「・・・」
吉村さんが小さく震えたのが分かった。
「誰かに待ち伏せされてるの??」
「・・・大丈夫です」
吉村さんはそう言うけれど、明らかに大丈夫ではない。
「送らせて。てゆーか、送る」
守らなきゃ。何の教科も教えられないけれど、私だって保健室の先生だ。生徒は全力で守らねば。
「大丈夫です。大丈夫です」
と首を左右に振って断る吉村さんに、
「大丈夫じゃなーい!!」
と、子どもみたいに大声を出して、強引に一緒に帰ろうとしていると、



