やっぱり、好きだ。

 

 


 2人きりになってしまった。

 バス停に着くと、運の悪い事にバスは出たばかりで、次のバスが来るまで10分待ちだった。

 10分間、どんな会話をすれば良いのだろう。間がもたない。

 何を話そうか悩んでいると、

 「・・・久しぶりだね、サヤ子。7年ぶり?? 元気だった??」

 青山くんの方から喋りかけてくれた。

 「・・・気付いていたんですね。7年前とは見た目変わっちゃったし、気付かれてないと思ってました。なんか、そっけなかったですし」

 青山くんに、自分の存在が忘れられていなかった事が嬉しかった。

 「・・・まぁ、瑠美の手前、一応ね。サヤ子が入って来る事、事前に知ってたよ、俺。新しく入って来る教師の履歴書見てたから」

 『ビックリした』と青山くんが笑った。

 ・・・瑠美。あぁ、桜井先生の事か。

 「・・・大事にされているんですね。桜井先生の事」

 昔、大切にしてもらえなかったどころか、嫌がられていた自分を思い出し、胸がチクつく。

 「・・・過ちは繰り返しちゃダメっしょ」

 苦笑いを浮かべる青山くんの過去にどんな失敗があったのかは分からないけれど、きっと『お前も昔みたいなストーカー行為するなよな』という意味も込められているのだろう。

 ・・・ストーカー行為。