やっぱり、好きだ。

 そんなサヤ子が、話を続ける。

 「あ、青山くんにちゃんとお礼言ってなかったね。青山くんのおかげでK大受かったのに。青山くん、数学教えるの本当に上手だから、あんなに苦手だったのにいつの間にか好きになってたし。ウチの親は青山くんの事を『K大に導いた神』て言ってたよ。その節は本当にありがとうございました」

 サヤ子にお礼を言われると、逆に辛い。だって、サヤ子に非なんて何もない。何一つない。全部自分が悪い。当たり散らされて罵られた方が気が楽だ。

 携帯を持っていない方の手で頭を掻き毟っていると、

 「ごめん。懐かしい話したら楽しくなっちゃって1人でベラベラ喋っちゃった。何か用事あったんだよね??」

 サヤ子に用件を話すように促された。

 そうだ、謝ってサヤ子を森田の所に連れて行く為に電話したんだった。