やっぱり、好きだ。

 
 「・・・青山先生って振られた事あります??」   

 多分ないだろうなーと思いつつも聞いてみる。

  振られた事のない人に、俺や桜井先生の気持ちは分かんないだろう。

 「うーん・・・。ないな」

 一瞬悩んで記憶を遡る青山先生。

 やっぱりなかったらしい。うん、だろうと思ってましたよ。

 「ないけど、自業自得だけど、サヤ子が俺から離れていった時は毎日ヤケ酒してたなー。それが多分安田の言ってる『振られた』に近いヤツだと思う」

 青山先生が頬杖をつきながらしょっぱい顔をした。

 その顔を見て、うかっり薄ら笑ってしまった。なんつー顔してんだよ。

 この人の話って『失恋話』なのかなー。でも、『失った』わけじゃなくて、自ら『捨てた』ようなもんだし。で、拾い損ねたり、拾うのやめてみたりで10年悶々としてたわけでしょ?? この人って、ほんと、愛すべきアホだよなー。

 「・・・おい、お前の質問に真剣の答えてやったのに、何半笑いになってんだよ」

 口元隠してたのに、笑った事をすかさず指摘する青山先生。