「具合、どう??」

 玄関のドアを開けると、マスクをしたサヤ子が、ビニール袋を持って立っていた。

 「サヤ子、治して」

 サヤ子の肩の顔を寄せてもたれかかると、サヤ子が『よしよし』と俺の頭を撫でた。

  心地よい。風邪も悪くないな。

  「中どうぞ」

 「おじゃまします」

 サヤ子を招き入れると、サヤ子はビニール袋をテーブルに置き、窓を開けた。

 「え?? 折角エアコンつけてたのに」

  「空気入れ替えたらまた閉めてエアコンつけるから。あ、翔太は寝て寝て!!」

 サヤ子は俺をベッドに寝かせると、今度はテーブルに置いていたビニール袋から買ってきたものをひとつずつ取り出した。

 「・・・てゆーか、何そのマスク」

 「風邪移らないように」

 本格的で立体的な可愛げのないマスクをしたサヤ子が、可愛げのない返答をした。