こんな事、好きで好きでしかたない人に涙目で言われて、心臓鷲掴みにされないヤツなどこの世にいるのだろうか。
「・・・俺も、好き」
シャツを掴むサヤ子の手を、俺の背中にまわして抱きしめる。
あぁ、もう今日ここで結婚式して帰りたい。
つーか、決めた。ここで挙げる。
サヤ子にキスをしようと身体を少し離して顔を近づけると、
「ねぇ、青山くん」
喋るし。サヤ子、喋るし。
「『青山くん』ヤメテ。結婚したら、サヤ子も『青山』だし」
「けっこん!!??」
サヤ子が大きく目を見開く。
・・・そりゃそーだ。
自分だけ舞い上がって、結婚式シュミレーションを勝手に繰り広げてしまっていた。
でも・・・、
「・・・しないの??」
これ、プロポーズなのかな。
「・・・だって、今日付き合ったばっかじゃん」
これ、断られてるって事かな。
「2回目じゃん」
「え??」
え??ってサヤ子・・・。え??って・・・。



