やっぱり、好きだ。

 

 深呼吸してサヤ子の所へ戻る。

 涙に濡れたサヤ子の髪を撫でると、サヤ子が目を開いた。

 「ゴメン、起こした」

 慌てて手を引っ込める。

 「・・・寝ちゃってたんだ」

 サヤ子は乱れた髪を、顔を隠す様に整えた。

 「サヤ子に昨日言い忘れた事があって・・・」

 そう言うとサヤ子は『ビクッ』と身体を震わせて俺を見た。

 もう、いいや。

 サヤ子の辛い気持ちがなくなるだけでいいや。

 こんなに苦しそうなサヤ子に、『また俺の事、好きになって』なんて言えるはずがない。

 「ずっと、ごめん。嘘吐いて、裏切って、嫌な思いばっかりさせて本当にごめん。許してくれなくていいんだ。俺の事、信じてくれなくていいんだ。でも、サヤ子は何も悪くなかったって事は本当。これだけは信じて」

 サヤ子の顔が見れなくて、謝りながら下げた頭をなかなか上げられない。

 そんな俺の頭をサヤ子が優しく撫でた。

 あぁ、止まんない。 

 やっぱり、好きだ。

 でも、これ以上苦しめられない。

 


 「サヤ子、俺の事・・・・・・振って」