教会の大きな扉を開けると、そこには誰もいなかった。
サヤ子、どこ??
ポケットから携帯を取り出す。が、またしまった。
・・・俺、教会って初めて入ったかも。
ここでサヤ子は毎日祈ってたんだ・・・。
サヤ子に謝るのは、キリスト様に懺悔してからにしよう。
左右対象に並ぶ長椅子の真ん中の道を、十字架に向かって前へと進む。
ゆっくり歩いていると、斜め右の長椅子で何かが動いた。
何!!?
恐る恐るその長椅子に近づくと、サヤ子が横たわって眠っていた。
サヤ子の上まぶたは、蜂にでも刺されたかの様に腫れ上がっていて、頬には涙を流した跡が残っていた。
サヤ子を通り過ぎ、1番前で祈る様に懺悔した。
『サヤ子の痛みを全部俺に返して下さい』



