「青山くんは、私の事なんか好きじゃなかったよ。だから、色んな子に目が行ったんだよ」
悲しそうに笑うサヤ子。
そうじゃないのに。 違うのに。
サヤ子の事、好きだったのに、大好きだったのに浮気した。
この矛盾を理解しろと言うのが矛盾している。
分かってる。分かってるけど・・・。
「サヤ子の事、本当に好きだった。大好きだった。今だって」
説明も言い訳も出来ない。
でも、この気持ちは本当なんだ。
「・・・信じらんないよ。私、もう傷つきたくないよ。あんな思いしたくない」
サヤ子が肩をガタガタ震わせて泣いていた。
「約束する。もう、泣かせないから」
震えるサヤ子の肩を掴んで抱き寄せようとした時、サヤ子が俺の手首を握って止めた。
「そんな簡単じゃない」
当然だ。サヤ子が、俺の言葉を簡単に信じられるわけがない。
「・・・ごめん、頭痛い。・・・寝かせて」
サヤ子は俺から離れると、ベットに潜り、声を出さない様に泣いた。
これみよがしに号泣してくれればいいのに。
こんな最低な俺なんか、罵倒して追い詰めてよ。
その夜は、サヤ子の鼻をすする音と、小さくしゃくり上げる声がずっと聞こえていた。



