「俺が邪魔しなかったら、森田とサヤ子は・・・」
「何に謝ってんだよ、今。俺じゃなくてサヤちゃんに謝る事だろ」
「サヤ子に謝ったら『森田くんに謝れ』って言われた」
『サヤ子に言われたから』なんて小学生みたいな事を言う俺を見て、『ふー』と森田がそれはそれは大きな溜息を吐いた。
「俺にはリサがいるから、『翔太が邪魔しなかったら』とかどうでもいいんだよ。まじでもうサヤちゃん傷つけんなよ」
森田に強い口調で念を押された。
サヤ子は森田にとって大切な『好きだった人』。
俺はサヤ子を傷つけながら、森田にも嫌な思いをさせていたんだ。
「森田、俺、今日腹括るわ」
コーヒーを飲み干して森田に高らかに宣言。
「地面に頭擦りつけてでも謝り倒せよ」
イラついていた森田が優しく笑った。



