やっぱり、好きだ。

 

 資料室のドアを締めると瑠美が抱きついてきた。

 俺は何度もこの温もりに安らいできた。

 『桜井先生が傷つかなきゃいけない理由なんかない』

 『自分の気持ちや事実を伝えるんじゃなくて、桜井先生が納得出来るような言葉を』

  安田の言葉を思い出す。

 『付き合う事は出来ないけど、大好きで大切なんだって気持ちを伝えたかった』

 サヤ子の気持ちが今なら分かる。

 『ずっと想い続けてあげられなくてゴメンって気持ちでいて欲しいです』

 朝倉先生が言っていた誠意を、今伝えなければ。

  抱きつく瑠美の肩は震えていて、顔は見えないけれど泣いてるのが分かった。

 「・・・確かに、サヤ子がこの学校に来たことは大きなきっかけだったと思う。でも俺、それより前から瑠美との結婚に迷いがあった」

 「結婚なんかしなくていい!! 一緒にいられるだけでいい!!」

 背中にまわる瑠美の手に力が入ったのが分かった。