やっぱり、好きだ。

 
 「しますかね!?? 普通、その話しますかね!??」

  恥ずかしさの余り、若干涙目のサヤ子。

 「サヤ子センセは本当に隠し事好きだよねー秘密主義なこけしサンだ事」

 「ッッツ!!」

 焦るサヤ子の横で面白がる安田。

 「秘密主義じゃない!! 抹消したい過去くらい誰にでもあるでしょ!!」

  『抹消したい過去』・・・サヤ子にとって俺との思い出は抹消したい過去なのだろうか・・・。

 「でも、『ナイジェ』はお気に入りのあだ名だったんでしょ??」

 安田が『落ち着いて』とサヤ子の肩に手を置いた。

 「・・・あの時はね。でも、大人になって振り返るとアホ丸出しだったなーと・・・」

  「そぉ?? 俺はますます好きになったけど」

 『ッッツ!!』

 シレっと言いのける安田に、驚く俺の横でサヤ子は首まで真っ赤になっていた。

 本当に安田は、やる事言う事全部が男前で困る。

 安田が振られてんのに、俺はサヤ子に好きになんてなってもらえるのだろうか。

 『ナイジェ話』暴露で俺の評価もまた下がっただろうし。

 「そろそろ朝礼」

  安田が俺たちから離れた。

 「・・・これ以上余計な事言ったら、チケットキャンセルしますから」

 サヤ子もそう言って離れようとした。

  「取れたんだ、チケット。ありがとな!!」

 そう言うと、サヤ子は少し笑って頷いた。

  早く来い!! 夏休み!!