「褒めてんのに。俺が女だったら絶対落ちてたと思うもん。なんでサヤ子は・・・」
ここが職員室だった事を思い出し、慌てて手で口を押さえ、語尾を消した。
「安田が男前な事なんて、言われなくても分かってますよ・・・青山先生には一生私の気持ちは分からないと思います」
サヤ子が俺に視線を向けることなく小さく呟いた。
「・・・朝から無神経、青山先生」
安田が呆れながら『ふう』と息を吐いた。
「イヤ、教えてくれなきゃ分かんねぇだろ、普通」
そんな俺の言葉に、安田とサヤ子が目を見合わせた。
「・・・手に負えない」
「なんか、私・・・色々ツライ」
今度は安田がサヤ子の頭を撫でた。
簡単にサヤ子に触れる安田が正直羨ましい。
「元気出して『ナイジェ』」
「ッッツ!!」
安田の言葉に、サヤ子が自分の頭の上にあった安田の手を掴んで止めた。
そして顔を真っ赤にしながら、俺を睨んだ。



