やっぱり、好きだ。

 






 「痛って」

  朝起きると、頭も痛いが身体も痛い。

  昨日、ベッドにたどり着けなかった俺は、あのまま玄関で寝たらしい。

  奇跡的に寝過ごす事もなく、むしろ早めに起きれた為、シャワーを浴びる時間も充分あり、着替えをしていつもの少しスカした青山先生にSETする。

 ・・・アレ、俺、昨日の金どうした?? 奢るって言っておきながら払ってなくね?? やっべ。今日安田に返さないと。

 『やっちまったなー』と頭をボリボリ掻いていると、スーツのポケットに入れていた携帯が鳴った。

 「はい」

 『青山先生?? 起きれました??』

 安田のモーニングコールだった。コイツは本当に、どんだけ親切やねん。

 「起きれはしたけど・・・昨日のお金!! 学校行ったら返すな」

 『いいっす。次奢ってくれれば。バス乗るんで切りまーす』

 俺が起きたかどうかを確認したかっただけの安田は、自分の用件が済むと、俺の返事を待たずに一方的に電話を切った。 イヤイヤだから、安田といい森田といい、もうチョイソフトな切り方があるだろうよ。

 つーか、まだバス乗るには時間早いだろーよ。

 という事で、携帯の画面をタップし、安田の番号をリダイヤル。携帯を耳に当て、何コールか待っていると、

 『もー、何ですか!?? 青山先生』

 優しい安田は鬱陶しそうな声を出しながらも出てくれた。

 「ちゃんと返すし。俺、先輩だし。じゃあ、学校でな」

 『どんだけ負けず嫌・・・『ブツッ』

 切ってやったぜ。俺からかけておいて切ってやったぜ。

 ・・・何やってんの、俺。・・・歯磨いて学校行こ。