------------気がついたら、俺のマンションの玄関前にいた。
「鍵、カバンの中?? スーツのポケット??」
どこまでも面倒見のいい安田が、酔いつぶれた俺を連れてきてくれたらしい。
「カバンに入ってる。つーか、自分で開けれるし」
・・・ダメだ。鍵穴に上手くさせない。
カッコ悪!!
「おいおい。」
安田は呆れながら玄関を開けると、
「あとは一人で大丈夫ですか?? 水とかないなら買ってきますけど」
最後まで気遣いを見せた。
「水、あるから。まじでゴメン。ありがとな。・・・安田、最高にいい奴なのな」
「・・・全然でしょ。俺、普通にまだサヤ子センセの事好きですよ?? だから、青山先生から俺の知らないサヤ子センセの話聞けて嬉しかったし・・・それに、俺はいい奴なんかじゃないから、サヤ子センセの好きな人が誰なのか教える気ないですもん」
安田が不敵に笑った。
「安田、知ってんの!??」
「じゃ、おやすみなさーい」
安田が俺の質問を無視して、笑いながら手を振り玄関のドアを締めようとした。
「めっさ生意気だけど、みんなに自慢したいくらい安田はいい奴!!」
そう言うと、締まりかけのドアの隙間から照れ笑う安田が見えた気がした。



