「・・・サヤ子の事傷つけ過ぎてどうすればいいか分かんなくなってさ・・・俺が頑張って近づいて、サヤ子の夢まで邪魔したくなかったし・・・。・・・・ってゆーのは建前で、本当は『このままサヤ子に会わなかったら、サヤ子の事忘れて違う子を好きになるだろう』って思ってたり・・・。 実際、瑠美と付き合ったし」
「・・・桜井先生の事、好きで付き合ったんですよね??」
さっきまで穏やかだった安田の目に力が入っていた。
「好きだったよ。凄く。正直、空気に流されてなんとなく付き合ったんだけど、だんだん好きになっていった。でも、瑠美が結婚を意識しだした時に正直迷った。瑠美の事好きだし、瑠美とだったら平穏な生活が出来るんだろうなって思ったけど・・・」
「けど??」
安田が刺す様な視線を向けてくる。
「・・・俺、サヤ子と別れてからサヤ子以上に好きになった奴いないんだよ。それなのに瑠美と結婚して、俺は幸せになれんの?? 瑠美を幸せに出来んの??ってさ」
「・・・そんな時にサヤ子センセ登場??」
「まさしく・・・すいません、越の寒梅」
どうしようもなくダメな俺がポン酒を求める。



