やっぱり、好きだ。

 

 「ウーロンハイで流し込め」

  安田にグラスを手渡すと、安田はむせながらもグラスに口をつけた。

 「で、サヤ子が『バシッ』

 安田が投げたおしぼりが、俺の顔面を直撃した。

 『サヤ子』って名前を聞くだけで笑ってしまうらしい。

  安田、悶絶。どうにもこうにもも飲み込めずにいる。

 しばし安田が落ち着きを取り戻すのを待つ。









 「あー。お待たせしましたー。まじ窒息しかけた。あぶねー」

 安田、生還。ようやく笑いを押さえ込んだ安田は、俺の分までホッケをほぐし始めた。

 「話題変えっか」

 サヤ子のオモシロ話はまた今度の方がいいだろう。もっかい話たら多分復活出来なさそうだし。などと、安田のほぐしたホッケを遠慮なく食いながら思っていると、

 「変えなーい。サヤ子センセと青山先生って高校時代は付き合ってたの??」

 懲りない安田は、サヤ子の話をやめないらしい。

 「付き合ってた・・・はず」

  「は??」

 「俺、サヤ子に告ってないんだよね。だから『ストーカー事件』の時、サヤ子は一切否定しなかった。自分の事、ストーカーって思い込んじゃった・・・スイマセン、麒麟山」

  落ちる気持ちを酒で誤魔化す。