やっぱり、好きだ。

 
 「ホントにな」

  気まずさの余り、串盛りを訳もなくいじり倒していると、安田が箸で串から肉を抜き取って小皿に入れて俺に渡した。

 安田は70%の水分と29%の優しさと1%の生意気で出来ているに違いない。

 「・・・お前、イイ奴すぎない??」

 「普通でしょ。青山先生は基本いい人だと思うし、勉強も仕事も出来るけど・・・致命的に中身がコドモ」

 安田が『フッ』と笑った。

 「安田って長男だろ?? 面倒見良すぎ」

 「当たり。弟が1人いますよ。青山先生ってひとりっこでしょ」

 「うわー。滲み出ててたか!! ひとりっこ気質が!!」

 「イヤ、溢れ出てる。大洪水。」

  安田がケラケラ笑った。

 けなされてるのに何故か楽しくなってきてしまった。 

 アルコールマジックか??

  「青山先生って、高校の時もサヤ子センセの事好きだったんですか?? あ、枝豆とほっけと、揚げ盛りとウーロンハイくださーい。青山先生、グラス空いてるじゃないッスカ。何飲みます??」

  安田が店員を呼び、メニューを俺に渡してきた。

 だから、なんなの?? なんでこんなに気が利くの?? これって普通なの?? 俺が人一倍気が利かないだけなの??