やっぱり、好きだ。


 「だからか。その・・・森田さん、でしたっけ?? とサヤ子センセは付き合ってはなかったんですか?? ほい、どーぞ」

  安田は店員が運んできたビールを受け取ると、俺の方に置いた。

 さりげなく食べ物も俺が取りやすい位置に置く安田。

 俺、コイツ嫌いじゃないかも。

 「付き合ってはない。・・・俺が邪魔したから」

 ビールに口をつけながら邪魔した内容を安田に話す。

 「ふーん」

 「『ふーん』て」

 「だって、好きだったらそれぐらいするっしょ。まぁ、やり方幼稚だなーとは思ったけど」

 そう言いながら、空いたグラスを店員が持っていき易い位置に片す安田は、俺より気が利く分、俺より傷つけてきた人も少なく、俺より大人なのカモしれない。

  「・・・サヤ子センセは、なんで自分の事ストーカーだって思ってるんですか??」

  「大学の時さ、俺、サル期でさ。 サヤ子の事大好きだったのに他の女とヤリまくってて・・・んで、狙ってた女に「彼女いるくせに」的な事言われて『サヤ子は彼女じゃない。 付きまとわれてるだけ。 ストーカーかと思う』みたいな事言ってたのをサヤ子が聞いてた」

  「・・・・最低すぎる」

 『はぁ』安田が溜息を吐いた。