やっぱり、好きだ。

 
 安田の言葉が胸に刺さる。でも、

 「俺は『分かんない』わけじゃねぇ。ただ、『気付けない』だけ。・・・・・・確かに安田の言う通りだな。 言われるまで考えもしなかったわ」

 俺は昔から、事を未然に防げない。何かが起こってからでないと、事態の悪化に気付かないくらいの無神経な人間だ。

 「え??  ばかなの??」

 カチンとくる安田の言い方。でも、その通りだから言い返せない。

 「それに、アメリカには絶対に行かなきゃなんねーの」

 「なんで??」

 間髪入れない安田の返し。

 なんでって・・・話すと長くなるしなぁ。

  「・・・奢ってやるから飲み行くぞ」

 空き腹の放課後に、恋愛話を繰り広げられるほど青春真っ只中ではないし、この年でこの手の話は、酒でも入らないと恥ずかしすぎて出来ない。