やっぱり、好きだ。

 

 ドアに耳を近づけ、サヤ子が離れた事を確認したところで、安田が口を開いた。

 「青山先生、キレすぎ。たかがキスっすよ」

 『フッ』と小さく息を吐き笑う安田。

 「・・・ダサすぎ。俺」

 サヤ子がいなくなると、一気に冷静さを取り戻す。もう、うなだれるしかない。

 「桜井先生・・・切ないっすね」

 今度は溜息の様な小さな息を漏らす安田。

 「それ、朝倉先生にも言われたわ」

 安田につられて俺の口からも溜息が出る。

 「サヤ子センセの事、そんなに好きなんだ??」

 「・・・だいぶ」

 完全に安田に自分の気持ちを見透かされているのは明白で、嘘を吐くのも面倒だし、意味もない気がして、正直に安田の質問に答えると、『ぷはッ』と安田が吹き出した。