保健室の扉を開くと、
「良かった。誰もいなくて。探し物し易いね」
中は静かで、人の気配もなかった。
パッ見る限り、床に落し物はなかった為、ベッドの方へ行き、布団を持ち上げベッドの下を覗いていると、
「あ、ゴメン。探し物の件、全部嘘」
私の背後で安田がケラケラ笑った。
「はぁ!?」
振り向きざまに安田を睨む。
「だって今日のキス、なかった事にされちゃったの嫌だったから。ちゃんと告おうと思って」
ついさっきまで笑っていたのに、急に真面目な表情になる安田。安田の真剣な表情に、心臓がうるさいくらいに強く鳴る。
「サヤ子センセ、好き。付き合って」
安田が真っ直ぐに私を見た。冗談を言っている様には見えない。
「・・・ごめん」
安田の事は本当に大好きだ。でも、私の『好き』は安田の『好き』よりぬるい。
それに・・・。
「まだ、青山先生が気になる??」
安田にはお見通しだった。



