やっぱり、好きだ。

 
 何が気に障ってしまったのだろう。

 何がいけなかったのだろうと、青山くんが出て行った方向を見ながら考えていると、

  「罪深い女だねー。サヤ子センセは」

 安田が訳の分からない事を言いながら、私の肩にポンと手を置いた。

 「それ、モテ女に言う褒め言葉でしょ。使い方間違ってるし。私はただ、他人を不快にさせただけだし・・・私、保健室戻るね」

  『はぁ・・・』溜息を吐き、自分も教務室を出て行こうとすると、

 「俺も行くー。ちょっと探し物させて。ネクタイピン落としちゃったみたいなんだよね。あれ、人から貰った大事なモンだからさー」

 安田が私の後をついてきた。

 正直、噂が消えていないのに安田と2人になるのはちょっと抵抗があったけど、大事な物を探したいって言われて断るのもおかしい。

 「そっか。保健室には落ちてなかったと思うけど、ちゃんと探してみよっか」

  ネクタイピンを一緒に探そうと、安田と一緒に保健室に戻った。