やっぱり、好きだ。

 
 「失礼します。その噂はガセですよ。その場には私もおりましたので」

 開いたドアから入ってきたのは、青山くんだった。

 「なぜ青山先生が保健室にいたのですか??」

 突然の青山くんの登場に、校長先生も少し驚きながら、青山くんに質問を返した。

 「高村先生に蛍光灯の交換を頼まれておりましたので。でも、私が保健室に行った時には既に安田先生が取り替えてくれていました」

 淡々と嘘を吐く青山くん。呆気にとられてしまう。

 「3限の授業中、男女2人の生徒が今日を高村先生が保健室を空ける日と勘違いしてベッドを使いにやって来まして、その事を我々に指導された事を根に持った上での腹いせかと思われます」

 そして、嘘の中に事実を織り交ぜだした青山くん。ここまでくると、最早関心。

 「そうですか。安心しました。今後はあらぬ噂を流されぬ様、指導の仕方に気をつけて下さい。下がっていいですよ」

 青山くんの流れる様な自然な作り話に、校長先生はあっさり納得してしまった。