やっぱり、好きだ。

 
 「サヤ子センセは心配しなくて大丈夫だよ。俺が勝手にした事だし、呼び出しかかったら俺に任せて」

  安田がポンと私の肩に手を置いた。

 『任せて』って、社会に出たての若者に、責任を押し付けるわけにいかない。

 「さっき、私の事庇ってくれたんだよね?? それなのに、更に助けてもらうなんて出来ない。私が何とかする」

 『何とかする』と言っても何の案もない。

 でも、処分されるなら前途有望な若者より私の方が良いに決まっている。

 「サヤ子センセ『1人で処分受けよう』とか考えてないよね?? それはまじで許さないからね」

 安田が私の両腕を掴み、強い口調で念を押した。

  「私、自己犠牲に幸せ感じるタイプじゃない。てゆーか、もう3時間目終わるよ。戻って次の授業の準備しなよ」

 安田を宥める様に笑う私に、青山くんは『嘘吐き』と小さな声で言うと『安田、行くぞ』と、私の腕を掴んでいた安田の手を解き、そのまま引っぱって保健室を出て行った。