やっぱり、好きだ。

 
 「安田って、軽音の顧問なんだよね?? じゃあ、安田の指導で、生徒たちが安田の代わりに夢叶えてくれるかもね」

 教師になった事、後悔している様にも見えないし、何らかの形で安田の夢が叶えばいいなと思った。

 「もー。サヤ子センセ、抱きしめていい??」

 両手を広げて私に抱きつこうとする安田。

 安田はここ最近、キスだのハグだのをよく分からない脈略で行おうとする。若い子の間では普通なのだろうか。私が三十路になりかけだから理解出来ないのだろうか。

 ただ、看護師時代に毎日患者さんを抱き抱えてたりして仕事をしていた為、抱っこには抵抗はない。安田、犬っぽくて可愛いし。

 ウェルカムな感じではないが、特に逃げる事もしないで動かずにいると、ハグをしかけた安田の後ろから青山くんの手が伸びてきて、安田の頭を鷲掴み、ハグを阻止した。