やっぱり、好きだ。


 「私、もうすぐ三十路なのに昇格も結婚も出来てなくて・・・。ある日後輩がね、『高村さんみたいになりたくない』って影で言ってるの聞いちゃって・・・。なんか、惨めで恥ずかしくて・・・。このままでいいのかなって考える様になって・・・。それで、保健室教員の資格取って、色んな学校に就活して採用もらえたのがここだったんですよ。・・・本当に青山先生に付きまとおうとして来た訳じゃないんですよ」

桜井先生に否定的に捉えられても仕方のない転職理由を、言い訳の様に並べる。

 「・・・看護師、夢だったのにそんなで理由で辞めたんだ」

 呆れただろう青山くんの言葉に、喉の奥が熱くなった。

 逃げ足の早い私は、逃げた先でも惨めな思いをする、救いようのないバカだ。

 「サヤ子センセ、看護師に戻る気ないの??」

 眉間に皺を寄せる安田は、私を心配してくれているのだろうか。それとも、私が看護師に戻った方が良いと思っているのだろうか。