「『ヒドイ奴』ってどういう事ですか?? 俺、サヤ子先生が他人の嫌がる事する人間には、どうしても思えない」
安田が青山くんに強い口調で言い放つ。
「安田、私の事買いかぶり過ぎだよ。ありがとうね。安田、優しいね。私、実はそういう人間なんだよ。騙すつもりはなかったんだ。だけど、ちょっとでも良い人間に思われたくて、過去の自分を隠してた。ごめんね。ごめんなさい」
何故か青山くんに怒りの矛先を向ける安田の服の裾を掴み、青山くんから離れる様に引っ張った。
「サヤ子センセに聞いてない。俺は青山先生に聞いてるの」
安田は私の方を向く事なく、真剣な顔でじっと青山くんを見ていた。
「・・・俺は『私が話す。私が全部話すから私に聞いて。ごめんね、ずっと黙ってて。軽蔑されたくなかったんだ』
何かを言いかけた青山くんを遮る。青山くんの口から言われるのは、耐えられない。



