やっぱり、好きだ。

 

 「サヤ子は、俺の事『ヒドイ奴』って思った事ないの??」

 キッチンに逃げ込もうとした私を、青山くんが見上げた。

 「・・・そんな風に思ってたら、ただの逆ギレじゃないですか。ヒドイ人間は私です。青山先生、今日まで誰にも言わないでいてくれてありがとうございました。いつも普通に接してくれて、親切にしてくれて、私なんかもパーティーに呼んでくれて、感謝しています。本当は私となんか関わりたくないはずなのに・・・申し訳ありません」

 その場に両膝をつき、青山くんに頭を下げながら唇を噛み締めた。青山くんに、下から自分の顔を見られたくなかったから。

 泣きそうになるのを、唇の痛みに神経を持っていき、自分を欺こうと試みる。