「今の、好きな子にだけに言ってなよ。 色んな人にその技使ってると、うっかり勘違いしてしまう人だっているかもしれないでしょ??」
自分の様な、悪気もなくストーカーになってしまう人間がいたら可哀想だと思って、妙な助言をしてみた。悪意のないストーカーに纏わりつかれるなんて、安田だって嫌だろうし。
「俺、サヤ子センセ好きだもん」
サラっと言っちゃう安田。この子は自分がイケメンだという自覚がないのだろうか。イケメンくんが何の気なく言ったLIKEの方の『好き』で思い違いする女子だって、この世にはいるんだよ。なのにコイツはー。それとも何か。 それを知っていてやってる小悪魔パターンか?? どっちにしろ厄介だ。注意しておこう。
「私も安田の事は好きだよ。でも『好き』は彼女にしたい人にだけ言わなきゃ。 色んな人に簡単に言ってたら言葉に重みがなくなる」
説教じみた事を言ってみたりしたが、自分みたいな哀れな女が生まれない様に・・・と言うのが本心だったりする。
というか、私が元々ストーカー気質だったからストーカーになってしまっただけで、他の女の人達は簡単に勘違いとか起こさないんだろうか??
「俺、サヤ子センセにしか言ってないよ??」
安田が少し切ない顔をして私を見つめた。
そう、まさにコレだ。こんな事を言われても、世の女性達は勘違いしたりしないのだろうか??
「安田・・・。安田は自分がカッコイイ事を知ってるのか知らないのか分からないけど、知ってるとしたら、自分が思ってるより自分がカッコイイ事、もっと自覚してよ。それと私、他の人の数百倍勘違いバカだから、そこんとこも覚えておいて」
「何それ?? 、でもサヤ子センセに『カッコイイ』って言われたー。やべぇー。嬉しー。でもやっぱ意味分かんねー」
安田が照れながら笑った。



