「俺だって、行き交う人に『女に重い物持たせる男』って思われたくないんだって。だから、ほら」
安田が『荷物ちょうだい』と尚も手を伸ばす。
安田は可愛い。優しい。面白い。だから、生徒にも人気がある。・・・が、
「安田は確かに確実に、世間で言う『イケメン』の類に入ると思うよ。でも、行き交う人の注目浴びてるー??」
ちょっといじわるを言いながら、出したままになっている安田の手を下ろしてやった。
「なんか、今日いじわるー。 サヤ子センセはさぁ、普通に『持たせて』って言ってもどうせ断ると思ったから、無理矢理変な理由つけただけなのにー」
拗ねる安田も漏れなく可愛い。
「ごめんごめん。だって、安田に気使わせるの嫌なんだもん」
「別に気なんか遣ってないよー。ただ、サヤ子センセに気に入られたいだけー」
安田がいたずらっ子のように『ニィ』と口を横に伸ばして笑った。
もう、だから何なんだ、この可愛さは。



