「 お巡りさんどうぞ！
ちょっと、靴ぬらしちゃったんで 」
「 平気ですよー
もうかなり履き潰してて…
――― あの…失礼ですが
ここって、あの、
… カフェでしたよね？ 」
「 …あ〜！！ はい！ ですね〜
聞くところによると
一本向こうの通りに
ライバル店が出来てたらしくて…
ここは立地いいんで
あまり空きがないみたいなんですけど
たまたま知り合いに紹介されまして…
それから昨日、内装入って
すごいですよね〜
一日かそこらで出来ちゃうんですから
取りあえず、花と水さえあれば
仕事は始められるんで
中は徐々に って感じっすかね 」
半開きのシャッター
その向こうに見えるのは
椅子もテーブルも、全て取り払われ
入口近く、レジの辺りの
カウンター部分だけが、そのままある
そうだよね…
ここは、そういうトコだった…
「 そうなんですか…
あの…お忙しいトコごめんなさい
つかぬ事お聞きしますけど
あそこに花、咲いてませんでした？ 」
