東京+ラブクラフト







―――― ううん 違う…



何か、 必要なの?

そのイヤリングを外された人は
何を持ってたの…?



私… 何も持ってないのに






――――… ああ そっか…


もしかしてあの時
私を、助けてくれた時から…?



この人は、ルウちゃんを守る為なら
きっと何だって、利用する





あの時生まれた
今も消えない、私のキモチも



私が気がついてるってコトも
きっと全部、分かってる



… きっと分かる様に、ああ言ったんだ





なら、これが "選択" なら
この場で拒否ってしまえばいいのに



シャツの襟をつかんでたハズが
… 力無く彼の胸に
預けてしまっている両手…



思いきりハルトさんを
突き飛ばしてから
あのケータイを握って
ドアを開いて、出ていけばいい ―――









背中のファスナーに、指がかかる



ダメなのに…



―――…… でも、出来ないよ




ここで離れてしまったら
ホントに彼は、消えてしまう

きっと 二度と…会えない…