『 … 逃げていいよ 』
しばらくして
そう微笑んだハルトさんの足元には
遠慮ナシに打ちすえられ呻く 沢山の声
コートのヒトは
足を引きずりながら、その場から逃げ
後に残され、ひきつった顔して
誰かの名前 叫んでるヒトもいたけど
一斉に逃げ出してて、誰もいなかった
―――― そっか…
クリスマスソングが聞こえたのは
こんなにいるやじ馬まで
皆、シーンとしてしまったからだ…
誰か通報したのか
遠くから、パトカーの音がし始めて
一度、服のスソで
しなったキューの全体を拭き
カラン…とそれを道に捨てた銀色の影は
ゆっくりと その場を立ち去る
私は我に返って ――――
肩に回されていた
ユタカさんの腕を外した
ルウちゃん、捜さなくちゃ…


