東京+ラブクラフト










――――― 擦り合う金属音



自転車が倒れて行く激しい音に
やじ馬も、乱闘していた視線も
どよめきの後、一斉に静かになって
何事かと振り返り





なのにそんなコトは
まるで関係ないみたいに

肩にはキュー、ジーンズの脚が
『 よいしょっと 』とガードを越え
リズムを付けて 走り出した





――― そして



柔らかな雪みたいに
静かな笑みを浮かべていた表情は

一瞬にして
楽しそうに口の端を上げた
氷の微笑に 変わる ――――――