一階の入口から、外に飛び出すと
すぐに歩道と、ﾗｸｶﾞｷだらけのガードレール
上から覗いた時に見えた
何人か人が立っていた場所には
今は誰もいなくなっていて
足元にタオルが、一枚落ちてる
―――… それが、妙にコワイ
自転車がやたら停められてて
狭くなってる道を隔てた、歩道の上には
まさに、夜の新宿の住人って感じの
首に模様が入ってるヒトや
ｽｷﾝﾍｯﾄﾞに、長めの髪にｺｰﾄの人
街灯の下、激しい乱闘が続いていて
やじ馬は、かなり遠巻き
ケータイで写メ撮ったりしてて
だけど勝負は
かなり一方的というか ―――
どうもそのｺｰﾄのヒトが
…鉄パイプ持ってる方の
少しｵﾄﾅ気味の集団に
かなり集中攻撃受けてて
ｺｰﾄの仲間側VS追い掛けてる側
追い掛け側の、ﾏｼﾞﾔﾊﾞｲ激しい怒声が、
静かなビルに反射して、響き渡ってる
私はとにかく
ルウちゃんとハルトさんの姿を捜す
――― そして向かい側
やじ馬の中に、ﾎﾟﾂﾝと立ってる
ﾊﾁﾐﾂ色した 小さな影を見つけて
ｻﾞﾜｻﾞﾜする人垣を割り
ガードレールを飛び越えようとした時に
どこかから、微かに
ハルトさんの声が聞こえた ―――
