… なんであんなに慌ててたんだろう
狭い階段を
やっぱりケーキを買いに来たっぽい
花束抱えて口笛吹いてる
ちょっとコワイ感じのオジサンが昇って来た
――… このヒトの事かな
一応あんまり
目を合わせない様にしてたんだけど
…… なんでだろう
そのオジサンまで、すれ違う時
ギョッと顔色を変えて、口笛をやめ
すごくワザとらしく背を延ばして
足早に階段を進んで行った
そんなビミョーな空気を
感じているのかいないのか
ルウちゃんは手摺りをつかんで
ゆっくりと階段を降りながら
後ろを向いて、ハルトさんに笑いかける
「 ねー ハルト
さっき下にいた、ウナギが見たい 」
「 いいよ
帰りに、鰻丼でも買って行く? 」
「 ううん ルウ
ウナギつかまえられないから
あれはね、にょろにょろするよ 」
ハルトさんはそれを聞いて
すごく楽しそうに、ケラケラ笑ってる


