ついでだからと
コーヒーを入れていた手が
その言葉で、止まる





「―――― うん 



表向きは、あるロックフェスティバルで
誤って起こってしまった
未成年者同士の事故



けど真相は、この"サエキリツコ"が
ある少年を刺そうとして…
それを一人の少女が庇った ―――



詳しい事情は
それ位しか入ってなかったけど
"元々少女を刺そうとしてた"って
証言もあったみたいだから
おそらく"嫉妬"ね〜



…だって、この"サエキ"
これが初犯じゃないのよ



ストーカーの典型っていうか

普段はホントに
なんら変わったトコない
普通のお嬢さんタイプらしいんだけど…



クラスメートの家に無断で入って
服とか勝手に持ち出したり
テレビ局の公開放送に乱入したり
似たような事件、何回も繰り返して
色々な所で起こしてるの…





――― 待って 言いたい事は、わかる





でも、親がね
相当な社会的地位らしいのよね…
それで毎回
示談って形で揉み消されてるみたいなの



だから
リカが言ってた女の子を刺したのも
その他起こした事件のひとつっていうか…


… なんか、そんな感じみたい 」












それを聞き
もう亡くなってしまったとはいえ
肩が 怒りで震える





「 その後…コイツはどうしてたの 」





「 まあ… だから
当時居た大学は辞めたみたいだけど
その後、留学とかして
普通に生活してたみたい…




――…

今回の事件当日は
新宿駅前に行くって
出掛けたみたいだけど


―――― これね 」