「 ――― …こ森さん 」 カナカナと、窓の外から 蝉の声 あまり存在感のないクーラーは 初秋の夕日の中 今日も静かに、その責務を果たしている 足だけは 妙に冷えるので イスに掛けておいた 薄手のカーディガンを、足元へ拡げた時 カチャリと開いた、ドアの隙間から 私を呼んだ 小さな声 「 ちょっと、いい? 」 そう手招きしたのは同僚 生活安全課の、井原さん ――――