遥が出てから僕は眠った。

「祐輔」

「ん、おかえり。あれ?」

僕は、不思議に思った。

「どうしたの?」

服に茶色い染みが、点々と染み付いていた。

「ん。いや」

「山岡さん、誰かと会うって一人で帰った」

「そっか」

「ねぇ、祐輔」

「ん?」

「愛してる」

「え、」

「それじゃ。
あ、先生が明日には退院していいって」

「あ、うん」

「じゃあね」

遥は部屋を出た。
何だろう。
あれは本当に遥だったのか?
何か違う。

遥はあんな冷たい目をしてただろうか。
まぁ、思い過ごしだろう。


今日は寝るとしよう。
そして僕は眠った。

次の悲劇が訪れると知らずに。